ビジネス
2016.11.11

MPP KOMATSU、難加工材の純鉄を使い冷間鍛造、切削、熱処理一貫工程で
AT車向け低保磁力のリニアソレノイドコアを製造(1/2)

渋滞にはまったときに、便利さを実感できるオートマチックトランスミッション(AT)。ATは車速やエンジンの回転速度に応じて変速比を自動的に切り替える自動車部品である。日本でのAT車の普及率は98%を超える。現在の車にとってなくてはならない部品である。

そんなATを構成する心臓部の部品を製造するのが静岡県の中堅企業MPP KOMATSUである。ATでは油圧制御によってトランスミッション内のクラッチの切り替え動作が制御される。ATの油圧制御回路に内蔵されるのがソレノイドバルブである。ソレノイドバルブは、ソレノイドを流れる電流で駆動されるソレノイド部と、油圧を調整するバルブ部から構成される。MPP KOMATSUが製造するのはソレノイド部のステータに相当する部品で、フランジを備えた中空のリニアソレノイドコアである(図1)。このコアの中空部にはプランジャが挿入され、ソレノイドを流れる電流によってプランジャの前後の動きが制御される。プランジャの動きはバルブ部へ伝えられる。それによって油圧回路が動作し、油路の開閉や油圧の調整が行われる。

図1●MPP KOMATSUが製造するオートマチックトランスミッションのリニアソレノイドコア参考写真

図1●MPP KOMATSUが製造するオートマチックトランスミッションのリニアソレノイドコア参考写真
他にも数種類のリニアソレノイドコアの製造を担当し、MPP KOMATSUは、精密冷間鍛造、精密切削、磁性焼鈍、ガス軟窒化、ろう付けの工程を社内一貫生産体制で担当している。リニアソレノイド(比例制御電磁弁)は、オートマチックミッション内でオイルポンプにより発生した油圧を制御することにより車両状態に応じてショックのないスムーズな変速ができるようクラッチの切り替え動作を制御(変速制御)する。

リニアソレノイドコアは、磁性体のフランジ部と中空の軸部の間に非磁性体を挿入した構造である(図2)。ソレノイドに電流を流したときにリニアソレノイドコアに磁束が生じてフランジ部がプランジャを吸引し、リニアソレノイドコアの軸部からプランジャを引き出す。プランジャを元の位置に戻すにはソレノイドの電流をオフにする。ソレノイドの電流がオフになると、プランジャはバルブ部に内蔵されているスプリングによって押し戻される。

プランジャを元の位置に戻す際、リニアソレノイドコアに大きな磁束が残ると、磁束を打ち消すためにソレノイドに逆電流を流さなければならない。逆電流を流すことによってクラッチの切り替え動作は遅れ、スムーズな切り替えが難しくなる。しかもソレノイドに逆電流を流す分、消費電力は大きくなる。リニアソレノイドコアには、できるだけ残留磁束が小さい低保磁力の材料が求められる。MPP KOMATSUが製造するリニアソレノイドコアの磁性体部分には、保磁力が小さい純鉄が使われている。低炭素鋼と比べて純鉄の保磁力は1/20程度である。しかし純鉄を使うには高度な製造技術が必要になる。

図2●リニアソレノイドの構造
図2●リニアソレノイドの構造
リニアソレノイドコア(濃緑色部)は、磁性体のフランジ部と中空の軸部の間に非磁性体を挿入した構造である。
磁性体部の保磁力が高いとヒステリシスを持ち、電力損失やクラッチ切り替え時の反応性の低下につながる。
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MPP KOMATSU(株)会社概要/製品説明資料

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