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2016.10.27

杉本金属工業、スズキの自動車部品金属プレス加工で
培った技術を武器に新規顧客開拓へ(1/2)

リーマンショック以降、世界経済が停滞し、多くの産業でなかなか成長軌道に移行できない状態が続いている。日本の自動車産業もその例外ではない。しかも自動車産業では、リーマンショック以降の円高で生産が国内から海外へ急速にシフトした。その影響を最も大きく受けたのが1次部品メーカーである。例えば金属プレス加工分野では、2001年に約4000社(経済産業省工業統計)あった事業所の数は2012年には25%も減少して約3000社(同工業統計)となっている。

写真●杉本金属工業代表取締役社長の杉本幸弘氏
写真●杉本金属工業代表取締役社長の
杉本幸弘氏

静岡県で長年スズキの車体部品を製造してきた杉本金属工業も、リーマンショックで大きな影響を受けた1社である。「リーマンショックで売上は3割程度落ち込み、赤字になった。SUVや商用車等、輸出車の部品を多く手掛けてきた弊社に対する影響は非常に大きなものだった」と、杉本金属工業代表取締役社長の杉本幸弘氏(写真)はその当時を振り返る。このままの状態では今後の成長が見込めない。同社は事業の再構築に取り組み始めた。

50年以上のスズキへの部品供給実績を武器に、新規顧客獲得目指す

杉本金属工業は、大型から小型までのプレス機を備え、自動車部品や家電部品を製造する。特に自動車部品が主力である。自動車分野では現在、環境対策に向けて車体を軽量化しつつ強度を保つため、ハイテン材(高張力鋼材)の採用が進んでいる。但し、ハイテン材の加工は難しく、大型の設備も必要になる。杉本金属工業は大型プレス機を備え、440キロ級~980キロ級のハイテン材の加工に力を入れており、安定的な量産技術をベースとする多数の加工実績を有する。同社はこのほかにも、異種鋼板をつなぎ合わせることで一つの素材の部分的な特性を変えられるテーラーブランク溶接材を用いたプレス加工技術を持つ。

こうした同社の製造技術をベースに、杉本氏が事業再構築の柱にしたのが新規顧客の獲得である。リーマンショック前の売上構成比率は大半がスズキ向け、残りが三菱電機向けだった(図1図2)。営業活動を続けた結果、この1~2年でスズキ以外の自動車メーカーの1次部品メーカーにあたる新規顧客を獲得することができた。「スズキさんの1次部品メーカーとしてやってきた実績が技術力、品質に対する安心につながり、評価されたものだと思う」と杉本氏は語る。

新規顧客の開拓につながったキッカケは装置メーカーだった。杉本氏は、自社に納入している装置メーカーにも新規顧客の紹介を依頼していた。生産を海外に移した影響で他の1次部品メーカーも国内投資をしにくい状況が続いていた。そうした中である1次部品メーカーが注文に対応するため、装置メーカー経由で自社と同じ装置を持つ杉本金属工業に生産を依頼してきた。

図1●自動車の車体骨格部品
図1●自動車の車体骨格部品
図2●ルームエアコン向け金属プレス加工部品
図2●ルームエアコン向け金属プレス加工部品

杉本金属工業は、2800tロボットプレスライン、1300tロボットプレスライン、2500tトランスファープレスラインを備えている(図3)。このほか同社は、250tブランキング、300tのトランスファープレス、溶接ロボット等の設備も持つ。2800tロボットプレスラインでは設計図通りの製品に仕上げるために、まずブランキングプレス機で最適な大きさにコイル材を打ち抜く。打ち抜かれた鋼板は大型プレスで複雑な形状に加工される。さらに最新の溶接ロボットで完成部品に組み立てられる。このような工程を経てフロントピラー、ルーフサイド、リアフロアーサイド等、比較的大型の自動車構造部品が製造される。杉本金属工業は、加工が難しい440キロ級~980キロ級のハイテン材のプレス加工技術を備える。

自動車分野では、獲得した新規顧客とのパイプを太くすることが杉本氏の当面の目標だ。「スズキの売上を維持しつつ、獲得した顧客に対する売上を伸ばしたい」と同氏は考える。

図3●2800t ロボットプレスライン
図3●2800t ロボットプレスライン
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杉本金属工業(株)会社概要/製品説明資料

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