ビジネス
2016.09.27

東海電子、アルコール測定システムで運輸業者2万社のネットワークを構築
安全・安心・健康を実現し、生きた関係を維持

静岡県の東海電子は、国内の運輸業者約2万社のネットワークを構築している。国内の貨物自動車運送事業者数とバス事業者、タクシー法人事業者数の合計は約8万5000社(国土交通省および全国ハイヤー・タクシー連合会データ)。従って東海電子は国内の約1/4の運輸業者とネットワークを築いていることになる。

東海電子は、運送会社やバス会社、タクシー会社向けにアルコール測定システムを販売する事業を展開する。売上は約20億円。「販売したアルコール測定システムのアフターサービスが売上全体の約60%を占める」と、東海電子代表取締役社長の杉本 一成氏は言う(写真)。運輸業者の生命線とも言える安全を担保するアルコール測定システム、およびその信頼性を維持するための保守・点検サービスが、2万社というネットワークを維持できる原動力となっている。

写真●東海電子 代表取締役社長の杉本一成氏
写真●東海電子 代表取締役社長の杉本一成氏

東海電子は1979年設立の企業で、元々は時計製造の下請け事業を展開していた。杉本氏が下請けからの脱却を目指し、自社製品第一号として開発したのが業務用アルコール測定システム「ALC-PRO」だった(関連記事:「東海電子、アルコール測定システムで飲酒運転事故ゼロを目指す)。2003年のことである。その後、運輸業者に対する点呼時のアルコール検知器使用の義務化などがあり、同社は売上を順調に伸ばしてきた。

企業全体の安全、飲酒に対する意識を変える

アルコール測定システムは運輸業者の事務所に設置される。ドライバーは点呼時にアルコール測定システムに息を吹き込んでアルコール成分の有無をチェックする(図1)。その結果はアルコール測定システムにつながるパソコンに取り込まれ保存される。東海電子のアルコール測定システムは被験者の本人識別を実施するため、検査前に運転免許証を読み込み、検査中のドライバーの顔写真を撮影できる仕組みを搭載している。

「一人のドライバーが飲酒運転で重大事故を起こせば、その会社は潰れる時代だ。場合によっては荷主も責任を問われる。アルコール測定システムがなければ、もはや運輸業者は動かない」と、杉本氏はアルコール測定システムの重要性を強調する。

そのようなアルコール測定システムは精度が命である。「アルコール測定システムの判定結果に基づきドライバーが解雇されることもある」(同氏)。東海電子はアルコール測定システムの高い精度およびその維持には力を入れる。アルコール測定システムを設置した事業者とは必ず年間9.8万円(標準)の保守・メンテナンス契約を結ぶ。そして年1~2回、アルコール測定システムの校正作業を行う。24時間のトラブル対応体制も整えている。

精度が低い数千円の簡易検査機器がある中、東海電子のアルコール測定システムは20万円以上する。「ユーザーから最初に聞かれるのは高い装置ですねという声だ。しかし導入し、使い始めると、こんなに役に立つ装置はないという評価に変わる。これまでのように夜遅くまで酒を飲み、翌朝、業務に就くドライバーはいなくなった。会社全体で安全、飲酒に対する意識が大きく変わったという感謝の声が聴かれるようになる」と、杉本氏は説明する。

図1●点呼時のアルコール検査
図1●点呼時のアルコール検査

「職場の仲間たちで飲むことがあっても、必ず次の日の出勤を確認し、飲酒運転にならないように意識し合っています。
ALC-PROⅡによる厳格なアルコール検査によって会社の信頼をさらに高めることができたと思います」(しずてつジャストライン)

東海電子は、こうしたユーザーの声を取材してホームページに掲載している(図2)(導入事例)。もちろん、こうした活動は同社のピーアールという側面はあるものの、そこからはアルコール検査の重要性や飲酒運転撲滅に取り組む運輸業者の真摯な姿勢が読み取れる。「法令による飲酒管理が厳しくなる中、高精度のセンサーでチェックすることは会社を守ることにつながりますし、ドライバー本人を守ることにもなります」(石島運輸倉庫)。「ALC-LOCKはコストアップにはなりますが、事故発生のリスクを減らし、従業員が幸せに暮らすことを考えればメリットの方が大きい」(熊本通運)。「停電時でも、無線とアルコール検知機だけは確実に電源を確保できる体制を整備しました」(北海道中央バス)。

アルコール測定システムの利用はアルコール検査が義務化されていない業界にも広がり始めている。「義務化されていないからやらないではなく、お客様にも、自分たちにも良いことだからやろうと。社員を信頼しているからこそ、アルコールゼロをエビデンスとして残すことが大事なのだという考えです。アルコールの残り方を、感覚ではなく数字で認識することで、より安全意識が高まったといった声が大半を占めます」(福祉関連のメディアケアー)。

図2●導入事例を紹介する東海電子のサイト
図2●導入事例を紹介する東海電子のサイト

運輸業界における「安全」、「安心」、「健康」のプロバイダを目指す

いま運輸業界ではドライバーの健康管理に力を入れている。ドライバーが運転中に意識を失い、バスが暴走し重大事故が発生しているためだ。杉本氏は運転中のドライバーの脈拍を常に監視し、異常を早期に発見できるようなシステムの開発に取り組んでいる。「同じようなシステムを多くの企業が開発している。それら企業に対する弊社の強みは、生きた2万社のネットワークを持っていることだ」と、同氏は新規事業開発の成功に自信を示す。

東海電子は、経営理念として「社会の安全、安心、健康を創造する」という目標を掲げている。同社は、アルコール等の依存性薬物問題の予防を目指すNPO法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)の飲酒運転防止インストラクター研修を社員に受けさせ、無償で飲酒運転防止の出張セミナーを開催している。杉本氏は「こうした活動も含め、企業、その社員、その家族の安全、安心、健康の実現に貢献していきたい」と、飲酒運転ゼロを目指すサービス事業の抱負を語る。

■関連記事:
東海電子、アルコール測定システムで飲酒運転事故ゼロを目指す

資料ダウンロード

東海電子(株) 「アルコール測定器 導入事例(5社)」

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